輸入材の特徴、国産材の現状
日本は国土面積の67%が森林に覆われた世界有数の森林国です。日本では、5~6万年の旧石器時代から縄文時代を経て、現代に至るまで、人々は森の恵みを受けながら生活し、木の文化を築いてきました。
しかし、現在国産材は、流通している木材の3割程度しかありません。日本の狭い土地で育つ樹木は、径が小さめの原木や曲がりの多い樹木が多く、住居に使用するために必要な寸法を満たした木材を入手するのが困難な状況です。
さらに、建材として使用するためには、しっかり乾燥させるなどの手間をかけなければいけないので、とても大変です。国産材は、芯材の割合が多く、外側と内側で乾燥のしやすさが異なるため、うまく乾燥させないと、ひび割れや反り、曲がりなどが起こってしまいます。
結果、加工しやすく安い輸入材のシェアが増え、流通量が少なくなっています。この流通の少なさ、コストパフォーマンスの悪さが国産材の一番のデメリットと言えます。
国産材を使うメリット
建築材料、特に構造材として木材を使用する場合は、長期間の健全保持が大切なポイントとなります。
日本の風土や気候は諸外国とは異なり、ハッキリと別れた四季、高温多湿で雨量の多い夏などの独特の条件があります。日本の独特の気象条件で育った国産材だからこそ、建築材料として最も適していると言えます。
現存する世界一古い木造建築物は日本の法隆寺です。建立されてから1300年も経っています。また、日本の歴史的な建築物は、すべからく木で造られてきました。
これらの建築物が、(再建などはあったものの)時代を超えて今なお存在していることは、日本の風土に「国産材による木造建築」が合っていることの証明であると言えます。
①無垢材の調湿機能
世界の住宅は、伝統的に石・土・木の三つの素材でつくられてきました。
一方で、日本で圧倒的に多いのは木造の家です。日本列島で樹木が豊富に採れたのがその一因であるが、土や石が乏しかったわけではありません。
家を建てるのに木を選んだ理由の一つは調湿機能です。
杉の柱1本は、ビール大瓶の0.5〜1本の水分を吸収する能力があるといわれています。木は、水分を吸収してくれるため、湿度が高く蒸し暑い日本の夏に相応しい素材なのです。
②ストレスを和らげる
森林浴をすると、リラックスして心地よくなるのは、樹木が発する芳香成分(フィトンチッド)の働きによるものです。
フィトンチッドには、人間の自律神経を安定させる作用があると言われています。 この作用は樹木が伐採され、木材となっても失われないもの。木造の住まいなら、中にいるだけで森林浴効果が得られるのです。
③環境問題
一般的に木を伐採することは、悪いことだというイメージがあります。ですが、それは時と場合によります。
木は成長期に光合成を行い、その際に二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素を吐き出します。
ですが、成長期を過ぎ成熟期に入ると、光合成の減少と共にCO2の吸収の量も減ります。加えて、木も生き物ですから、酸素を吸って二酸化炭素を出します。
木材を使用することに於いて、外材(輸入材)を使用することは、地球規模での循環を促しているように思われますが、輸送時に大量の化石燃料を使用することや、日本の森林の荒廃を招いている事などから、国産材に比較して、環境への負荷が大きい物と断言します。
国産材を活用する上で、木を伐ることが環境を破壊している訳ではありません。木材を資源として有効に活用する事が、森林の循環を促し、環境問題に対して大きく貢献出来るのです。